タイニン省リハビリテーション病院での研修も2日目を迎えた。本日も朝から夕方まで、現地の理学療法士の方々と膝を突き合わせた濃密なカンファレンスが続く。しかし、昨日までの緊張でガチガチだった学生たちの姿はそこにはない。立ち振る舞いや眼差しには、どこか現地の理学療法士のようなプロフェッショナリズムの風合いが漂い始めていた。
言葉の壁、文化の壁、そして何よりリハビリに対する考え方の違い。いくつもの壁にぶつかりながらも、それらを素直に受け入れ、自らの意見を組み立てて言葉にする。学生たちは着実に、異文化を受け入れるしなやかな土壌を育みつつあった。

だが、臨床の現場はどこまでも甘くない。 ここでのリハビリ室は、日本の恵まれた環境とは大きく異なる。日本なら当たり前にある機器や訓練道具が見当たらないことも珍しくない。理想的なプログラムを頭の中で描いたとしても、それをそのまま再現できる環境などここには存在しないのだ。

「日本ならこんな道具があるのに……」
そんな言い訳は、目の前の患者様の前では何の役にも立たない。与えられた環境と限られた条件の中で、いかに最大限の効果を引き出すか。学生たちは「日本での当たり前」を一度手放し、必死に脳みそをフル回転させて新たな工夫を捻り出していく。
そんな中、彼らの前に今日一番の大きな壁が立ちはだかった。 一人の男性が、車椅子に乗せられて静かにリハビリ室へ運ばれてきたのである。
カルテや事前情報は一切なし。当然、言葉も通じない。まさに「情報ゼロ」の状況である。緊張した面持ちで患者様の前に立つ学生たち。「自分たちは、この方に一体何ができるのだろうか」——手に汗握る静寂が流れた。

意を決して問診を始めてみると、さらなる事実が判明する。男性は学生たちの言葉や問いかけの意味を理解しているものの、声を出して話すことができない状態だったのだ。
話せない患者様から、どうやって状態を聞き取り、希望を汲み取ればよいのか。 新たな壁を前にして、学生たちは再び深い思案の海へと潜り込んでいった。
しかし、ここからの彼らの粘り強さは見事であった。表情の変化、うなずき、身振り手振り、そして自ら紙に描いたイラスト。あらゆる手段を駆使して患者様とコミュニケーションを試み、少しずつ、だが確実に心を通わせていく。そしてついには、今のその男性に必要な最善の治療アプローチを自らの力で導き出したのである。
「ないもの」を嘆くのではなく、「あるもの」と「アイデア」で未来を切り拓く。 言葉や環境の壁に幾度ともなく打ちのめされながらも、自分たちの足で立ち上がり、解決策を掴み取る学生たちの姿は、出発前とは見違えるほどたくましく、そして頼もしく輝いていた。
ひとつの大きな試練を越えた彼らを、明日はどのような経験が待っているのだろうか。物語は佳境へと続いていく。

理学療法士を目指すなら!履正社の理学療法学科ってこんなところ✨
「理学療法士ってどんな仕事?」「履正社の理学療法学科ってどんな雰囲気?」
そんな疑問を持ったあなたへ!☞【理学療法学科の魅力をもっと知る】はこちらから
「理学療法学科の学生って、どんな1日を過ごしてるの?」
授業・実習・放課後まで、リアルな学生生活をのぞいてみよう!







