皆さん、こんにちは!
毎週日曜日に運動部に所属する学生さんや医療人を目指す学生さん向けにスポーツ障害に関する知識やリハビリ方法、予防方法などを発信しています。
ぜひ参考にして、競技力アップやサポートする選手に活用してください。
今回は、スポーツの現場で起こる、脳震盪ついてまとめていきます。

先日、大学女子バスケットボールチームの合宿に帯同した際に、立て続けに3件脳震盪(疑いも含む)が起こり私の復習も兼ねてまとめていきます。
実際、起こった場面ですが、試合中ボールの取り合いから相手の肘が選手の顔にあたりそのまま選手は転倒。私もその場面は見ており、そんなに強くあたったようには見えなかったので、あまり慌てずプレーが途切れるのを待っていました。
プレーが途切れ、選手の元へ行くと下のような状態でした。

(良い画像がなくてすみません。実際の画像を使うわけにもいかなかったので・・・)
この場合みなさんどうしますか?
先に、鼻の出血があるので早く起こして、止血をと思いがちですが、実はそれはダメです!
鼻から出血は出ているものの、脳震盪の可能性があるのでこれからまとめていくことを理解した上で対応しなければなりません。
私自身、現場に出るにあたり一番意識していることは、選手にアクシデントが起きた際に、命の危険にさらさないことを一番念頭に置いています。
実際、2025年Bリーグ試合中の選手の心停止。クラブのメディカルチームと運営スタッフが迷うことなく動き、命をつないだ。これは記憶に新しいと思いますが、これは日々チームトレーナーの方々そういった事態を想定し、訓練していた結果だと思っています。
※ そのYoutubeは↓
https://youtu.be/xjEFFaMWGcc([ダイジェスト版] Everyday is a new day. たくさんの準備がつないだ一つの命)
どうしても、怪我の応急処置、リコンディショニング、トレーニングなどに目が行きがちですが、スポーツ現場では実際に死亡事故や障害が残る事故なども起きております。トレーナーはできる限りそういった可能性を排除、または、実際に起きた際に対応できるように日々準備をしておく必要があるかと思います。
そのため、今回脳震盪というあまり興味が出ない内容ですが、ぜひご一読ください。
前回は足関節捻挫記事を書いていますのでそちらも興味があれはぜひ!!
【高校生、医療学生必見】足関節捻挫のすべて(基礎知識から予防まで)①
【高校生、医療学生必見】足関節捻挫のすべて(基礎知識から予防まで)②
【高校生、医療学生必見】足関節捻挫のすべて(基礎知識から予防まで)③
【高校生、医療学生必見】足関節捻挫のすべて(基礎知識から予防まで)④
序章:なぜ今、脳震盪の正しくアップデートされた知識が必要なのか?
スポーツ現場において脳震盪(Sport-Related Concussion: SRC)は、「少し頭を打ってクラクラしただけ」「休めばすぐ治る」と軽視されがちでした。しかし近年、脳神経科学およびスポーツ医学の飛躍的な進歩により、脳震盪は「機能的(非器質的)な微細脳損傷」であり、不適切な対応が重大な後遺症や生命の危険(セカンドインパクトシンドロームなど)を引き起こすことが明らかになっています。
特に医療系学生やスポーツに携わる学生アスリート・指導者は、感覚論ではなく科学的エビデンスに基づいた初期評価と復帰プロトコルを理解しておく必要があります。本原稿では、2023年のアムステルダム合意声明(Consensus Statement on Concussion in Sport)や主要論文をベースに、定義から病態生理、評価、復帰、長期的なリスクまで徹底的に解説します。
第1章:脳震盪(SRC)の定義と病態生理学
1-1. 脳震盪の最新定義(Amsterdam Consensus 2023より)
スポーツ関連脳震盪(SRC)は、頭部、顔面、頸部への直接的な衝撃、または体に加わった衝撃が頭部に伝わること(間接的衝撃)によって生じる外傷性脳損傷(TBI)の一種です。
- 機能的損傷: CTやMRIなどの一般的な画像診断では構造的異常(出血や骨折)が見られない「機能的(Functional)な障害」です。
- 一過性の神経機能障害: 症状は通常、短時間から数日〜数週間で自然軽快しますが、一部で長期化します。
1-2. 脳震盪の病態生理:Neurometabolic Cascade(神経代謝の連鎖的異
脳震盪の病態生理を理解するうえで最も重要な論文が、Giza & Hovda (2001, 2014) による「Neurometabolic Cascade of Concussion」です。
【衝撃の発生】
↓
【軸索の伸展・細胞膜の微細損傷】
↓
【大量のカリウム(K+)流出 & グルタミン酸の異常放出】
↓
【Na+/K+ポンプの過剰稼働(ATP消費の急増)】
↓
【脳血流量(CBF)の低下(エネルギー不整合:Energy Crisis)】
↓
【カルシウム(Ca2+)の細胞内流入 & ミトコンドリア機能障害】
- メカニカル・ストレス: 急激な加減速や回転力が頭部に加わると、脳組織がねじれ、神経細胞(ニューロン)の軸索が伸展します。
- イオンチャネルの崩壊: 細胞膜が引き伸ばされることでイオンチャネルが開き、細胞内からカリウム(K+)が流出し、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸が大量に放出されます。
- エネルギー・クライシス(Energy Crisis): 膜位を元に戻すため、ナトリウム・カリウムポンプ(Na+/K+ ATPアーゼ)がフル稼働し、ATP(エネルギー)を激しく消費します。しかし同時に脳血流(CBF)は低下しているため、「エネルギー需要の増大」と「供給の不足」という不均衡状態が発生します。これが脳の脆弱期(Vulnerable Window)です。
第2章:症状と観察すべきサイン
2-1. 4つの領域別症状
脳震盪の症状は多岐にわたり、身体的、認知機能的、情緒的、睡眠障害の4つの領域(Domains)に分類されます。

2-2. Red Flags(緊急搬送が必要な危険信号)
現場で以下の症状(Red Flags)が確認された場合は、直ちに救急車を手配し、専門医(脳神経外科等)へ搬送しなければなりません。

- 徐々に悪化する激しい頭痛
- 繰り返す嘔吐
- 局所神経症状(瞳孔不同、四肢のマヒ・しびれ・脱力)
- 意識レベルの低下、うとうとする、意識消失の長期化
- けいれん・発作
- 頸部痛または圧痛の増悪
- 不安行動、錯乱、普段と著しく異なる言動
今回はここまで!
次回も脳震盪についてまとめていきます。お楽しみしてください。
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