皆さん、こんにちは!
毎週日曜日に運動部に所属する学生さんや医療人を目指す学生さん向けにスポーツ障害に関する知識やリハビリ方法、予防方法などを発信しています。
ぜひ参考にして、競技力アップやサポートする選手に活用してください。
今回も、スポーツの現場で最も怪我のリスクが高い、足関節捻挫についてまとめていきます。
過去の捻挫記事から読んでいただくと、理解が深まりやすいです。
【高校生、医療学生必見】足関節捻挫のすべて(基礎知識から予防まで)①
【高校生、医療学生必見】足関節捻挫のすべて(基礎知識から予防まで)②
【高校生、医療学生必見】足関節捻挫のすべて(基礎から予防まで)③
本日は、足関節捻挫の予防についてまとめていきます。
「過去に捻挫をしたことがある」こと自体が、足関節捻挫の最大の危険因子(リスクファクター)です。科学的に証明されている再発予防策を提示します。
1. エビデンスに基づく予防介入の優先順位
多くのメタアナリシス(McGuine et al., 2006 / Bellows et al., 2018 など)において、捻挫予防効果が最も高いと実証されているのは以下の組み合わせです。
1位:固有感覚・バランス機能訓練(Neuromuscular Training)
・予防効果:捻挫の再発率を約40〜50%減少させるという非常に強いエビデンスがあります。
・メカニズム:関節の位置覚や動的反応速度を高めることで、着地時に足が嫌な角度(内反位)に入った瞬間、脳を介さずに短腓骨筋が秒単位で反射収縮し、過度の内反を回避できるようになります。
2位:サポーター・半永久的装具(Ankle Bracing)およびテーピング
・予防効果:特に「捻挫の既往歴がある選手」において、再発率を劇的に低下させます(初発予防には効果が薄いというデータもあります)。
・注意点:サポーターをつけ続けると筋肉が弱るのではないかという懸念がありますが、研究によれば筋活動を低下させることなく、機械的制限と皮膚感作(テープが引っ張られる感覚によるフィードバック)によって予防効果を発揮することがわかっています。
2. 毎日のウォーミングアップに取り入れられる予防エクササイズ
部活動の練習前や日常に組み込める3分間の予防プログラムです。
【ステップ1】足関節背屈ストレッチ(壁押しストレッチ)…… 各足30秒

【ステップ2】片足カーフレイズ(踵上げ)…… 15回×2セット(後脛骨筋・腓骨筋の強化)

【ステップ3】Y-Balance タッチ動作 …… 左右5回ずつ

【ステップ4】片足アジリティホップ(小刻みに前後左右へ片足ジャンプ)…… 各15秒

3. セルフチェックリスト:あなたの足首は大丈夫?
最後に、自分の足首の危険度を調べるセルフチェックを実施してみましょう。
[ ] 過去に足首をひねった後、病院に行かずに放置したことがある
[ ] 壁に向かってかかとをつけ、膝を壁につけるストレッチ(Knee-to-Wall)で、つま先と壁の距離が10cm未満しか離せない
[ ] 平らな場所で「目をつぶって片足立ち」をした時、30秒間じっと立っていられない
[ ] 歩いている時やスポーツ中、足首が「ガクッ」と外れるような不安感がある
[ ] 正座をした時に、足の甲や外くるぶしの前に突っ張り感や痛みがある
※2つ以上チェックがついた方は、すでに「慢性足関節不安定症(CAI)」の予備軍または状態にあります。 早急にスポーツ整形外科を受診するか、理学療法士・アスレティックトレーナーのもとで適切なリハビリテーションを開始することをお勧めします。
6. まとめ
足関節捻挫は、決して「時間が経てば自然に治る軽い怪我」ではありません。
- 解剖:外側前腓距靭帯(ATFL)が最も構造的に損傷しやすい。
- 概要:受傷直後は骨折(オタワ・アンクル・ルール)を鑑別し、早期の適切な対応で慢性化(CAI)を防ぐ。
- 応急処置:昔のRICE(冷やして安静)から、最新のPEACE & LOVE(過度な冷やしや安静を避け、適度な負荷を与える)へシフトしている。
- リハビリ:痛みがない=完治ではない。背屈可動域と固有感覚(バランス)を完全に取
- り戻す。
- 予防:神経筋トレーニング(バランス練習)とサポーターの併用が最も効果的な予防策。
- 正しい知識を持って足をケアし、再発の恐怖のない健やかな身体で、スポーツや日常のパフォーマンスを最大限に発揮していきましょう!
(参考文献 / References)
Dubois, B., & Esculier, J. F. (2020). Soft-tissue injuries simply need PEACE and LOVE. British Journal of Sports Medicine, 54(2), 72-73.
van Rijn, R. M., et al. (2008). What is the clinical course or prognosis in patients who suffer a primary acute ankle sprain? A systematic review. The American Journal of Medicine, 121(4), 324-331.
Stiell, I. G., et al. (1992). Multicentre trial to introduce the Ottawa ankle rules for use of radiography in acute ankle injuries. BMJ, 305(6865), 1322-1325.
McGuine, T. A., & Keene, J. S. (2006). The effect of a balance training program on the incidence of ankle sprains in high school athletes. The American Journal of Sports Medicine, 34(7), 1103-1111.
今回はここまで!
次回の投稿内容は未定ですが、お楽しみしてください。
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