
こんにちは、履正社国際医療スポーツ専門学校 広報部です。
理学療法学科の「第二回プロフェッショナルミーティング」について、全4回にわたって掲載しています。
<前回の記事はこちら>
【vol.1】当日の様子をレポートします
今回は、登壇いただいた宇野将史さんへのインタビュー(前編)です。講演後、学生からもらった反応などについてお話しいただきました。

[宇野将史さんプロフィール]1990年生まれ、兵庫県出身。京都成章高校ラグビー部時代は13番センターで、キャプテンとして活躍。全国大会で3位入賞を果たす。その後、中央大学へ進学。2011年には関東大学ラグビーリーグ戦のベストフィフティーンに選出される。同年10月、公式戦の最中に脊髄を損傷する事故にみまわれる。医師に「一生、自分の足で立つことはできない」と宣告され失意に打ちひしがれるも、さまざまな人との出会いを機に「絶対に歩く!」ことを決意。懸命なリハビリを経て目標を達成する。大学卒業後、東芝へ入社。人事関連の仕事に従事する。2021年に同社を退社し、関西へ拠点を移す。現在は保険会社の営業職として全国を飛び回る日々を過ごす
僕自身に興味を持ってくれたことがうれしかった。
――まずは講演を振り返っていただけますか。
「実は最初にお話をいただいた時、ちょっと心配でした。1年生が対象なこともあり、脊髄損傷のことをよく知らない人もいるだろうし、伝わるかな? と」
――伝わるかな、というのは?
「そもそも脊髄損傷で僕ぐらい回復するっていうのが、かなり珍しいことではあるんです。そのイメージがつかめなかったら、ピンと来ないんじゃないか。ふーん、ぐらいで終わるんじゃないかと懸念していました。でも、後でいただいたメールを読むと、みなさん多少は(脊髄損傷のことを)わかっていたみたいで。たくさんの感想をもらい、講演をお引き受けして良かったと感じています」
――学生からのメールは、どんなことが書かれていましたか。
「理学療法士(以下、PT)を目指した理由や、こんなPTになりたいといった、自分のことを伝えてくれた内容が一番多かったですね。『どうやったら患者さんに寄り添っていけるのか、具体的にイメージが湧きました』と書いてくれた人もいます。ケガなどのつらい経験や今、抱えている想いなどを自己開示してくれるような内容もありました」

――うれしかったメールはありますか。
「質問をくれたり、『良かったらお話してみたいです』と書いてくれたのがいくつかあって。僕個人に興味を持ってくれたのかな、とうれしくなりました。普通、講演が終わればつながりは切れるもの。でも、そこから一歩踏み込んでくれたというか」
――ほかに、印象に残ったことは。
「みなさん必ずといっていいほど『勉強がんばります!』と書いていて、大変なんだなぁと(笑)。あと、PTを目指した理由に『自分がケガをした時にお世話になり、憧れたから』というのが結構あって。これってすごいこと。それだけ良い人に出会って影響を受けたんですよね。みなさんそれぞれが思い描くPTになってくれたらいいなと思いました」
リハビリは、楽しかった記憶しかない。
――PTと患者さんの関係については、講演でも詳しくお話されていましたね。
「PTはドクターとは違う視点で患者と関わるということや、(PTの)モチベーションを患者も感じ取ってるよ、というのは伝わったのかなと思います」
――そのあたり、もう少し詳しく教えてください。宇野さんは3つの病院でリハビリをされたとのことなので、いろんなPTと時間を共にしたと思います。「このPTさんで良かった」と感じた関わり方はありましたか。
「僕の場合、『回復は難しい、無理』というマインドからのスタートでした。だからなのか、最初に担当してくれたPT、OT(作業療法士)さんは簡単に『大丈夫』とは言わなかった。でも、諦めたらダメっていう。そんな状況の中でのモチベーションの持っていき方や保ち方、雰囲気作りなんかは、今にして思うと良かったなと思います。最初の頃は本当に、楽しくリハビリしていた記憶しかなくて」

――リハビリが楽しいって、ちょっとびっくりです。
「喋りながらいろいろやってるだけなんですけどね。ラグビーでいろんなトレーニングをしてきたし、考えながら動かしたいタイプなので『今、身体にどんなことが起きているのか』とか、『どこの筋肉をどう動かしたら、身体に作用を及ぼすのか。その際、どこを意識するのか』といったことはいつも気になって。よく質問していました」
――どんな風に質問していたんですか。
「たとえば『今、三頭筋が伸びてるから(身体に)効いてるんじゃないですか?』と聞くと、『うーん、でも、この姿勢でこうした時にこうならないってことは、ほぼ効いてないと思います』みたいな感じです。何を聞いても即座にバシッと答えてくれる。プロだなぁと。だからこそ、『この人の言うことなら信用できる』と信頼関係も生まれてくるというか。やっぱり身体を預ける身としては、プロフェッショナルでいて欲しいと思います。リハビリ、最後の方は部活みたいでしたけどね」
――部活みたい、とは?
「『もう1本いける!』みたいな、追い込む感じの……」
――それは宇野さんがラガーマンだから、そんな風に追い込むことができたのでは(笑)。
「そうですね、患者によると思います(笑)。キツいけど楽しかったんですよ」
――PTを目指す学生に大切にしてほしいことはありますか。
「PTさんって、人の人生の大変な時期に関わる機会が多い仕事ですよね。だからこそ、誠実に向き合ってほしいとは思います。長くリハビリする患者だとなおさらで、多くの時間を共有するから、与える影響は小さくはないはず。心が折れたままでずっといくのか、前向きにリハビリをするのか。患者の性格ももちろんありますが、PTさんの関わり方で違ってくるんじゃないかと。忙しくて疲れている日もあるだろうし、毎日患者に全力投球って、難しいかもしれません。それでも、真摯に向き合ってくれたらいいなとは思います」
次回は宇野さんのインタビュー後編をお届けします。今後の目標などをうかがいながら、素顔にクローズアップします。お楽しみに。







