
こんにちは、履正社国際医療スポーツ専門学校 広報部Mです。
昨年12月、アメリカ・ニューヨークメッツとマイナー契約を結んだ本校卒業生、迫 勇飛さんのインタビューvol.2をお届けします。
迫さんは本校卒業後、社会人野球・カナフレックスで投手として活躍。その後、オーストラリア、アメリカで研鑽を積んできました。
今回のお話は「日本と海外の野球の違い」について。
環境面の違い、シビアな契約システムなど、迫さんはどんな風に向き合ったのでしょうか。
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(写真/本人提供)
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「明日、クビになるかも」。そんな環境だからこそ。
――海外で選手活動をするにあたり、環境面ではどんな違いがありましたか。
違いは山のようにあります(笑)。まず僕自身、日本ではトーナメント形式でしか試合をしたことがなかったんですが、向こうはリーグ戦。休みは1日だけで、他は全部試合でした。1年目はリリーフだったので、投げるか投げないのか当日までわからず、調整がしづらかった。ボールも違うし、マウンドも人工芝。ハード面でも環境がまったく違いました。特にボールに慣れるのが一番難しかったです。大きさも重さも違うんですよ。海外でなかなか結果が出にくい選手がいるのは、マウンドやボール、気候といった条件が違い過ぎるからだと思います。僕なんかは別のスポーツをしている感覚すらあったというか。そこにどう早く適応していくかが、すごく大切です。
――チームとの契約面も、日本とは違う?
全く違います。アメリカのMLBや独立リーグは、僕みたいなフリーエージェントでも契約できるので、チームも選手を取りやすいし、解雇もしやすい。プレーがひど過ぎたら「1日でクビ」がある世界です。アメリカでの1年目はシーズン中、90人ぐらい選手が入れ替わりました。ただこれは、言い換えると常にチャンスがあるということ。みんな30歳ぐらいまで独立リーグでプレーして、いろんなチームを渡り歩く。元メジャーリーガーもたくさんいます。そんな環境なので、平均年齢は高い。日本だったら、25~26歳ぐらいの選手って、そろそろプロを目指すには厳しいという認識があると思うんですが、アメリカでは30歳ぐらいまで頑張れる。そういった点で、夢はあるかなと感じます。
――熾烈な環境にいることで、迫さん自身、何か変化はありましたか。
常にクビになるかもしれない、切羽詰まった環境だからこそ成長できた気はします。毎日全力でプレーするのが当たり前。ミスしたり、大量失点を食らってしまったら、(リリーフなら)翌日までに軌道修正が必要。だから成長のスピードも速かったのかなと。「次は絶対に抑えないと」「今のでクビになったかもしれない」みたいなことを考えながら、プレーしていました。それをストレスに感じる人はしんどいかもしれません。僕ももちろんストレスだったし、思い詰めちゃうようなこともたくさんありました。突然、チームスタッフがごっそり変わったこともありましたし。毎日、荷物をまとめ終えた選手に「バイバイ、ありがとう」って挨拶される。はじめはすごく辛かったです。仲良かったのにとか、一緒にキャッチボールしてたのに……って。でも、そのうち他人事じゃなくなってくる。結果を出さないと日本に帰らないといけないので。
「リリーフ陣への想い」がもたらしたもの。
――他にも、心境の変化はありましたか。
アメリカでの1年目はリリーフ、2年目は先発を担当しました。1年目の経験を経て、僕自身の、リリーフ陣へのリスペクトがすごく高まって。向こうの先発って、中4日のローテーションが普通なんです。登板した日の結果が良くなかった場合、4日間でどれだけ修正、調整していくのか、すごく気を遣いました。一方で、リリーフは翌日も投げないといけない時もあるし、3連投もある。疲労を残したまま調整することも多々あって。その辛さを知っているから、自分が先発で出してもらった時は、なるべくリリーフ陣に負担をかけたくない。「少しでも長く投げる」という気持ちでプレーしていました。そういった思いの結果として、(24年の)7月に、人生で初めて完封完投することができたんです。それまで色々な経験をしてきたからこそ自信につながりましたし、すごくうれしかったですね。
――迫さんのように、海外に挑戦する人に共通点があるとすれば、何だと思いますか。
チャレンジしたいという気持ちがあり、言葉や野球文化の違いを楽しめる人かなと思います。
――迫さん自身は、どういった違いを楽しんでいますか。
いい意味で、海外は本当に自由です。まずどのチームも、日本と比べて練習時間が短い。だからこそ、残り時間の使い方は自分次第。自己管理能力が問われます。日本の野球、特に高校までは、まだまだ指導者が練習を管理するのが主流かと思います。だから海外の練習システムが合う、合わないは出てくるかもしれません。また僕自身、日本にいた頃は、どうしても監督やコーチの助言に頼ったり、甘えてしまう時がありました。そういった恵まれた環境から離れたからこそ、自分でやるしかなく、己と真摯に向き合えたという実感はあります。向き合わないと、何しろクビになるので(笑)。自分で自分を作り上げていく楽しさを今、感じています。
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次回は最終回。迫さんの学生時代の思い出について伺っています。
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