本校ソフトテニスコースでアスレティックトレーナー(AT)の実習を経験した、医療×ATの学生5人。前編では、担当教員とともにソフトテニスの現場で求められる、トレーナーの技術と関わり方を振り返りました。
後編は、理学療法学科、柔道整復学科、鍼灸学科で学びながらATの資格取得を目指すことの相乗効果について語ります。
椙棟 大輔
1973年生まれ、兵庫県出身。はり師、きゅう師、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー。本校鍼灸学科(医療×AT)卒業後、2007年に本校へ入職。鍼灸学科をはじめ、医療×ATの授業や実習を担当する
田中 大樹さん
2005年生まれ、神戸高塚高校出身。理学療法学科(昼間部)3年生。ケガをした選手の日常生活のケアから、競技復帰まで関われるトレーナーを目指し、本校に入学。実習では、選手以上に声を出し、全力でトレーニングを指導。チームや選手を率先して引っ張った
川﨑 心琴さん
2006年生まれ、広島翔洋高校出身。理学療法学科(夜間部)3年生。高校時代、ケガで部活に参加できない期間を過ごし、「自分のような辛い思いをする人を減らしたい」とトレーナーを志す。リハビリの知識が豊富でトレーナーチームから頼りにされている
松尾 美優莉さん
2005年生まれ、長野県長野商業高校出身。柔道整復学科(午後部)3年生。いつも笑顔で、チームの空気を明るくする存在。将来の目標は、自身が取り組んでいた、チアリーディングのような採点競技の選手を支えるトレーナーになること
矢島 優美さん
2005年生まれ、熊本・鎮西高校出身。柔道整復学科(午後部)3年生。高校時代、バレーボール部最後の大会でチームメイトのケガを経験。ケガ予防ができるトレーナーを目指す。チームの意見をまとめるリーダーシップと広い視野を持つ
高橋 翔琉さん
2006年生まれ、長野市立長野高校出身。鍼灸学科(午後部)3年生。スポーツ現場で鍼灸ケアを求める選手が増えていると聞き、鍼灸師の資格を持つトレーナーを志して入学。常に穏やかで、周囲への気遣いを忘れない、チームのムードメーカー
そうだったね。理学の授業で学んだことをATで実践していたイメージ。だから、どんどん知識を増やしていける環境だった。
鍼灸は東洋医学がベースにあるから、ATと考え方が異なるし、勉強する内容も全然違って。そこはちょっと苦労したかな。
でも鍼灸ATって、トレーナーとして強いよね。鍼は即効性があるし、現場での需要は高いと思う。
私は、もともと鍼灸にも興味があったんだ。高橋くんから話を聞くうちに、鍼灸師の資格もあれば、トレーナーとして活躍する場がもっと広がるだろうなと思った。柔道整復師の資格を取った後、鍼灸師の資格を取ることも考えてる。
え! そうだったんだ。知らなかったな。
椙棟先生とは、世間話ばかりしちゃってますもんね、実習後とかに。
ファッションのこととかね。今後は、進路も相談してもらえることを期待しています(笑)。
矢島さん(右から二番目)のように他学科の学びにも興味を持つ学生は、内部進学の制度が利用可能。入学金免除などサポートを受け、毎年多くの学生が内部進学している
「そんな視点があるんだ!」
実習が進むと、選手から身体に関する相談を受けることも増えてきて、学科ごとにわかれて取り組むことも多かったね。
テーピングが必要なら、柔道整復学科の二人がメインで対応したり。選手の疲労がたまりやすい合宿では、鍼灸学科の高橋くんが鍼を打ってコンディショニング※1してくれた。
でも、リハビリといえばやっぱり川﨑さん! 理学療法の知識が豊富で、評価※2する時も柔道整復とは違う、理学療法ならではの視点、考え方を知れたのも良かったな。腰の痛みに対して、柔整は手技で対応することが多いけど、「理学はこんなテストをして評価したり、姿勢を見るんだ」とか。
選手から「ここが痛い」と言われて「この筋と、この筋にアプローチするとゆるむよ」って、ぱっと教えてくれた時は頼もしかった。
私だって、二人からテーピングをうまくやる方法を教えてもらったよ。手技も習ったし。
そうそう、もみほぐし方とかね。僕も実際にやってもらったりして。理学療法で手技は習ってなかったから、実習の中で知れてよかったな。鍼灸のこともたくさん質問したよね。
ツボのこととかね。みんなが興味津々だから、鍼灸で学んでいることを話す機会は多かったな。
鍼灸の話、面白いから。今も、矢島さんと「鍼やお灸みたいに、専門の道具を使えるところも良いよね」とか、よく話してるよ。
他の学科の話を聞けるのも楽しいし、AT実習でみんなと関われたのはいい経験だった。学生の雰囲気も、学科ごとにちょっと違うような気がするし。鍼灸の人はキャラが濃いような……。
それはよく言われるよ(笑)。僕自身も、鍼灸学科の学生だけじゃなくて、いろいろな学科の学生たちと関われるAT実習の場は刺激になってるよ。
- ※1 選手の心身を最適な状態へ調子を整えること
- ※2 選手の身体の状態を知るために情報を集めること
実際のスポーツ現場では、理学療法士、柔道整復師、鍼灸師をはじめ、さまざまな資格、役割を持つ人が活躍している。実習を通して、学生のうちから多様な考え方、視点を培い、協働経験を積む
スポーツ選手と関わる経験を糧に。
ATの授業や実習では、スポーツ選手の競技復帰まで目指したリハビリを学べるのがよかったな。理学の授業は、日常生活が送れるようになるまでを目標にすることが主軸だから。
対象者の年齢や生活環境が、理学とATでは全然違ったよね。リスク管理の考え方や、リハビリメニューの強度を変えたり。医療×ATでスポーツ選手に対する経験を積めたから、メニューの引き出しが増えたと思う。
本当にそうだよね。瞬発力だったり、理学の授業ではあまり重要視されない身体能力の高さが必要とされるから。どうやって筋力と体力を上げていくのか、考え方やアプローチの幅が広がった。
柔整の実習も、接骨院や病院で高齢の方が対象になることが多い。そこでは、筋力トレーニングでも、転ばないようにする筋肉を鍛えたりするから、スポーツ現場での実習経験は別ものだったな。
ATの授業では、柔整とは違う角度から学ぶことがいろいろあった。リハビリのメニューを組み立てる時、ATでは筋トレの豊富な知識が必要になったり。柔道整復師としても、臨床現場に活かせる考え方がたくさん身についたと思う。
僕は、AT実習をする中で、鍼灸はコンディショニングや体調管理など、スポーツ選手の身体を内側からアプローチできることが強みだなと気づけた。合宿実習では、椙棟先生の立会いの下で選手の身体に鍼を打つ経験もできたし。
みんな本当に成長したよ! 実習が始まった頃は声も小さくて、選手への接し方にも試行錯誤していたけど、一人ひとりが得意を生かして選手から頼られるようになった。最高のチームだったと思うよ。
あとはAT試験と国試、がんばります!
※肩書き、インタビューの内容は取材当時のものです。








僕と川﨑さんが学んでいる理学療法は、ATと学習範囲が重なる部分も多かったから、知識をつなげていく感じだったよね。理学で習ったことを現場で復習するみたいな。