今年は、冬季オリンピックがイタリアのミラノとコルティナ・ダンペッツォで開催されます。
四年に一度、世界中のアスリートが人生を懸けて舞台に立つ特別な年です。
テレビやニュースでその姿を見るたびに、いつも感じることがあります。
私たちはどうしても順位やメダルに目がいきますが、あとになって思い出すのは、結果よりも、そこに至るまでの歩みのほうではないでしょうか。
逃げずに続けたこと。
何度もやり直したこと。
そうした時間の積み重ねに、その人らしさや強さが表れるのだと思います。
2014年のソチ大会。
フィギュアスケートの浅田真央さんは、ショートプログラムでジャンプのミスが重なり、大きく出遅れました。
世界中が見守る舞台での失敗。
どれほどの重圧だったか、想像するだけでも胸が締めつけられます。
それでも翌日のフリーに出場し、もう一度リンクに立ちました。
逃げずに、自分の演技に向き合いました。
すべてのジャンプを跳び切り、最後まで滑り切ったその姿は、順位以上に多くの人の心を打ちました。
「とことん落ちたから、あとは上がるしかなかった」
この言葉に、覚悟の強さを感じた方も多かったのではないでしょうか。
自分に納得できる演技をやり切る。
そのまっすぐな姿勢が、深く印象に残っています。
1988年のカルガリー大会では、イギリスのスキージャンパー、マイケル・エドワーズ選手が話題になりました。
経験も実績もほとんどないところから挑戦を始め、それでも夢をあきらめずに飛び続けた選手です。
不格好でも全力で空へ飛び出すその姿から、「エディ・ジ・イーグル(鷲のエディ)」という愛称で親しまれるようになりました。
結果は最下位。
それでも会場から送られたのは、大きな拍手でした。
一生懸命に挑む姿そのものが、人の心を動かしたのだと思います。
同じ大会では、南国ジャマイカから初出場したボブスレーチームも注目を集めました。
雪のない国の若者たちが、寄せ集めの器材と手探りの練習でスタートラインに立った、いわばゼロからの挑戦でした。
この実話はのちに映画にもなり、世界中で語り継がれる物語となりました。
レース中に転倒し、途中棄権。
それでも彼らは肩を組み、笑顔でコースを後にしました。
「やり切った」という表情がとても印象的で、その姿は今も多くの人の記憶に残っています。
こうしたエピソードに触れるたびに、あらためて思います。
大切なのは、勝ったかどうかだけではなく、「自分はやり切った」と思えるかどうかなのかもしれません。
これは、スポーツに限った話ではありません。
本校の中学生も、高校生も、専門学校生も、
それぞれが目標を胸に、日々懸命に歩みを進めています。
思うようにいかない日もあります。
努力がすぐに結果につながらないこともあります。
それでも、あきらめずに一歩ずつ前に進んでいく。
その積み重ねが、きっと自分自身を支える力になっていくはずです。
本校が大切にしてきた「履正不畏」も、
特別な場面の言葉ではなく、そうした日々の姿勢そのものを表しているのだと感じています。
正しいと信じる道を、畏れずに歩み続けること。
その繰り返しが、未来をつくっていきます。
オリンピックイヤーのこの一年。
結果に一喜一憂するよりも、今日できることを丁寧に。
そんな毎日を、着実に積み重ねていく一年であってほしいと思います。
皆さんにとって、この一年が実り多い時間になることを、心から願っています。
【参考資料】
■浅田真央さんインタビュー
キャリアの集大成として臨んだソチ五輪でのどん底と“伝説のフリー”…浅田真央氏がソチ五輪を振り返… | Lemino ニュース
■エディ・ジ・イーグル
挑戦者の物語:エディ・ジ・イーグル、左官職人からスキージャンパーへ
■ジャマイカ・ボブスレーチーム
挑戦者の物語:伝説のジャマイカ・ボブスレーチーム、デボン・ハリスとクリス・ストークス 名作「クール・ランニング」で話題…ボブスレージャマイカ代表が24年ぶりに五輪に帰ってきた話〈ボルトはメンバー入りを辞退〉(3/3) – 冬季スポーツ – Number Web – ナンバー







