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理事長だより

vol.52「鎮魂の祈り」

今年3月、音楽家の坂本龍一さんが亡くなりました。
80年代、坂本さんはテクノポップミュージックで、世界をあっと言わせました。その後『戦場のメリークリスマス』など映画音楽も数多く手掛け、『ラストエンペラー』では日本人で初めて米国アカデミー作曲賞を受賞しました。またバルセロナオリンピックでは開会式の音楽を担当するなど、国際的にも幅ひろく活躍したアーティストでした。

亡くなる前、坂本さんはウクライナ人の音楽家として祖国の人々に勇気と癒しを届けようとする若きヴァイオリニスト、イリア・ボンダレンコさんの活動をYouTubeで知り、コラボレーションとして『Piece for Illia』という曲を誕生させました。イリアさんは爆撃で瓦礫と化した学校でこの曲を演奏し配信しました。その音色はウクライナの人々への祈り、祖国で起こっていることを世界の人々に伝え、忘れないでほしいとの思いが詰まっています。演奏の動画を見た私の心にも強く響き、かの国で起こっている理不尽さを感じずにはおれません。皆さんにも是非聴いてもらいたいので紹介します。

イリアさんが演奏した、学校があった場所では、爆撃を受ける前には多くのこどもや若者が学んでいたことでしょう。そんな当たり前の日常が戦争によって奪われてしまった。

同じようなことが78年前、履正社にも起こりました。本校の前身である大阪府福島商業学校と旧制履正社中学校の校舎も焼け落ちてしまったのです。第二次世界大戦末期、アメリカ軍の空爆で大阪の街は焼け野原となりました。78年前と言えばはるか昔のことではありません。戦争を経験した今も健在な方々がおられます。

戦争では軍人だけでなく、こども・女性・高齢者など弱い市井の人々が犠牲になります。戦争さえなければ、平穏な暮らしや豊かな未来があったはずの人たちの人生が狂ってしまう、実に愚かな人災です。

78年前、2発の核爆弾の投下を含む日本中の家屋への無差別な殺戮がありました。犠牲となった方々へ鎮魂の祈りと、ウクライナに一日も早く穏やかな日々が戻りますようにと願って止みません。

地下シェルターで弾く映像が話題に…ヴァイオリニスト語る「音楽家の役割」坂本龍一氏とのコラボも実現|TBS NEWS DIG – Bing video

■『Piece for Illia』全曲
Ryuichi Sakamoto and Illia Bondarenko – Piece for Illia – Bing video

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