皆さんこんにちは！今回は、急性期の問題となります！
第58回午後問題19
16歳の女子。バスケットボールの試合中に受傷した。同日病院を受診し、左足関節外側靱帯損傷と診断され、理学療法を行う方針となった。
急性期の対応で正しいのはどれか。
- 受傷日から患部の安静目的に固定を行う。
- 受傷日から積極的に患側足関節の可動域練習を行う。
- 受傷日から炎症を抑えるために入浴など血液循環を促す。
- 受傷翌日から試合に参加できるよう鎮痛薬を飲むように勧める。
- 受傷から3日間は常に氷水で冷やし続ける。
解説
左足関節外側靱帯損傷とは、よく言われる「足首の捻挫」のことです。捻挫といわれると軽く聞こえる人も多いかと思いますが、靱帯損傷といわれるとオオゴトに聞こえますよね。実際には、この「急性期＝病気や怪我をして間もない時期、症状が安定していない時期」に十分な治療を行わず後遺症が残る方々がほとんど。どのような対応が正しいのか、問題をもとにみていきましょう！
肉離れや打撲もですが、このような怪我をした場合はRICE処置を行います。
Rest（安静）、Icing（冷却）、Compression（圧迫）、Elevation（挙上）の4つの処置が基本となります。
- 受傷日から患部の安静目的に固定を行う。
→これは正しいです！
- 受傷日から積極的に患側足関節の可動域練習を行う。
→可動域練習とは、足首を動かす練習のことです。痛くてパンパンに腫れている状況の時に、積極的に動かすことは行ってはいけません。というか、行えませんよね！よって、誤りです。
- 受傷日から炎症を抑えるために入浴など血液循環を促す。
→入浴すると、血管が拡張するのでより怪我をしたところに血液がいくかたちになります。ということは、「炎症を抑える」のではなく、炎症を増悪させてしまうことになってしまいます。炎症が生じることは体の反応（怪我を治す上で）として必要なことですが、この時期は痛みや腫れを抑える方に徹するために、入浴は控えましょう。よって、誤りです。
- 受傷翌日から試合に参加できるよう鎮痛薬を飲むように勧める。
→鎮痛薬は痛み止めのことです。痛みは大事な体の信号です。痛みがあることで、それ以上無理をしない、さらなる損傷のリスクを防ぐことができます。しかし、鎮痛薬を服用するとどうでしょうか？その痛みを感じることができないため、そのまま試合に参加すると、自分も知らない間に体はどんどん悪くなるわけです。理学療法として、これを「勧める」ことはできません。よって、誤りです。
- 受傷から3日間は常に氷水で冷やし続ける。
→冷やしているから正解のようですが、「常に」というワードがNGとなります。常に氷水で冷やし続けると凍傷のリスクがでてきますので、行ってはいけません。Icing（冷却）は15〜20分程度冷やして、しばらく休むということを繰り返すことが望ましく、おおよそこれを急性期の3日間ほど行います。よって、誤りです。
解答：1
一言ポイント！
RICE処置をおさえておくと、このような問題は解きやすいかと思いますが、自分が怪我をしたときにどうだったかな？と、自分に置き換えてみてもヒントが得られるケースはあるかと思います！
「痛いから動かさない」「冷やすと楽になった」「足をあげて寝たら腫れがマシ」など、経験している方も多いのでは？
このブログは、現在リアルに授業を担当している教員が、国家試験解説を出来るだけわかりやすく説明しています。是非参考にしてみてください♪
では、次回をお楽しみに！
