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柔道整復学科

好きな人をハグするときに大活躍する前鋸筋【解剖生理おもしろ雑学帳Vol.17】

こんにちは、教員Aです。

前鋸筋ってどんな筋肉?」と聞かれて、パッとイメージできるかな?

教科書の画像をみても、なかなかわかりにくい筋肉ですよね。どこから始まってどこに付いているのか、どんな動きをするのか…う~ん、とても分かりにくい。

実は、前鋸筋は好きな人をハグするとき、一番頑張っている筋肉なんやで。

今回はこの「前鋸筋」を深堀りしましょう!

なぜ前鋸筋はイメージしにくいの?

まず、この前鋸筋のイラストをみてください。


前鋸筋の停止は「肩甲骨の内側縁」についているんです。そこから肋骨に付着しているんやけど、肩甲骨と胸郭の間(隙間)にあるから、筋肉図を見てもどうついているのか、めちゃイメージしにくいねんなぁ。実は、私達教員にとっても「とても描きにくい筋肉」なんやねん。

教科書では、よく以下のような図で紹介されている。でもこれじゃイメージ湧きづらいよなぁ。
(「解剖学」教科書より)


「前へスライドする動き」こそが、まさにハグの瞬間!

次に、前鋸筋の付着部と作用(運動)をイメージしてもらうために、上から見た「横断面(断面図)」を表現しました。

このように、前鋸筋がギュッと収縮すると、肩甲骨は胸郭の上を滑るように動くんやで。この動きを「肩甲骨の外転」と言います。

そう、この『前へスライドする動き』こそが、まさにハグの瞬間です!

ハグをするとき、両腕を前へ大きく伸ばし、相手を包み込むように動かしますよね。

このとき肩甲骨は胸郭の上をスーッと前へ滑っています。この肩甲骨の動きをつくる主役が前鋸筋です。

つまり……前鋸筋は「人を抱きしめる筋肉」。

そう考えると、急に親近感が湧いてきませんか?


ここでスッキリ!前鋸筋の基本情報(教科書スペック)

ハグの動きでイメージが湧いたところで、国試に出る基本情報を整理しておきましょう。ノート代わりにチェックしてやぁ!

【前鋸筋(Anterior serratus)】

  • 起 始: 第1〜8(または9)肋骨の外側面
  • 停 止: 肩甲骨の内側縁
  • 支配神経: 長胸神経(C5~C7)
  • 作 用: 肩甲骨の外転・上方回旋


もう一つの顔は、戦うための「ボクサー筋」

人を優しく抱きしめる前鋸筋ですが、実はもう一つ有名なニックネームがあるねんなぁ。

その名は「ボクサー筋(Boxer’s Muscle)」!

パンチを打つ最後の瞬間、肩甲骨をさらに前へ押し出して、拳をあと数センチ先まで伸ばしているのがこの前鋸筋です。

だから、ボクシングはもちろん、

  • 野球の投球動作
  • テニスのサーブ
  • バレーボールのスパイク

など、「腕を前へ勢いよく伸ばすスポーツ」では絶対に欠かせない筋肉なんやぁ。

ハグ(愛)にもパンチ(戦い)にも必要……まったく正反対の動作で大活躍するのって、すごく面白いよなぁ。


名前の由来は、大工道具の「ノコギリ」

ちなみに「前鋸筋」の「鋸(きょ)」という漢字、何の意味か知っていますか?

これは大工道具のノコギリという意味。

肋骨に付いている部分がギザギザと並んでいて、まるでノコギリの歯のように見えることからこの名前が付きました。英語名の Serratus anterior も、「ギザギザした」という意味の serrated が語源。


筋肉の名前には、見た目がそのまま由来になっているものが意外と多いんやで。


麻痺すると「翼」が生える!?国家試験頻出の疾患

もし前鋸筋が働かなくなるとどうなると思いますか?

なんと、肩甲骨が背中から浮き上がり、後ろから見るとまるで「羽」が生えたように見えることがあるねん。

これを翼状肩甲(よくじょうけんこう / Winged Scapula)と言います。

原因として有名なのが「長胸神経麻痺」

国家試験でも超・頻出のペアなので、必ずセットで覚えておきやぁ!

臨床での評価法(検査)としては、患者さんに『壁に向かって両手をついて、壁を強く押し返してもらう』というテストがあります。前鋸筋が働いていないと、押し返した瞬間に肩甲骨の内側がベコッと浮き上がってくるので、一発で見抜くことができるんやで。


腕を真上までスッと上げられる秘密

「腕を上に挙げる筋肉」と聞くと、多くの人は肩の「三角筋」を思い浮かべますよね。

もちろん三角筋は重要です。

でも、実は三角筋だけでは腕は途中で止まってしまい、最後まで上がりません。

腕を耳の横(180°)までしっかり挙げるには、肩甲骨自体が外側に回転するように動く(上方回旋)必要があるんです(学校で習う「肩甲上腕リズム」ってやつですね!)。

その上方回旋を引っ張る主役こそが……前鋸筋と僧帽筋のゴールデンコンビ!

この2つが協力して肩甲骨を回してくれるおかげで、私たちは自然に気持ちよくバンザイができるんやで。


柔道整復師として知っておきたい臨床のポイント

将来、みんなが治療家として現場に出たとき、前鋸筋の機能低下はスルーできない重要ポイントになるねんで。

前鋸筋が弱くなると、臨床では以下のような問題に直面する。

  • 肩甲骨が安定しない(グラグラする)
  • 投球動作で肩を痛めやすくなる
  • インピンジメント症候群(肩の引っかかり)の原因になる
  • 翼状肩甲がみられる

肩が痛いという患者さんが来られたとき、肩関節だけを見るのではなく、「土台である肩甲骨がちゃんと前鋸筋によって動かされているか?」という視点を持つことも大事なんやね。

まとめ

今日は「前鋸筋」についてたくさん紹介しました。

暗記だらけで嫌になりそうな解剖学やけど、こうやって動きや由来、臨床のつながりが見えてくると、ちょっと愛着が湧いてけえへん?

この記事をきっかけに、みんなが「前鋸筋」に少しでも興味を持ってくれたらめっちゃ嬉しい。

今度、頭が疲れたときは、友達と前鋸筋を使ってハグでもして癒されてやぁ(笑)!

それでは、また次回の【解剖おもしろ雑学帳】でお会いしましょう!

【おまけ】
リスタとウォンバット君が柔道整復師の国家試験に合格してハグしている動画をAIで作ってみた。
動画→国家試験に合格して喜びのあまりハグしあうリスタ

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