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日常生活(ブログ)

柔道整復学科

「ゾンビ細胞」っているの?【解剖生理おもしろ雑学帳Vol.16】番外編

こんにちは、教員Aです。

みなさんは「ゾンビ細胞」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
映画やゲームに出てくるゾンビの話ではありません。

実は近年の老化研究で注目されている「老化細胞(Senescent Cell)」のことです。
その特徴が、まるで「ゾンビ」みたいなヤツなので「ゾンビ細胞」と一般向けに呼ばれています。
もちろん、柔道整復師国家試験の教科書にはまだ登場してません。

臨床実習やアルバイトでこんな場面に出会ったことはありませんか?
「しっかりリハビリをしているのに、なぜか治りが遅い」
「長年、組織の炎症がくすぶり続けている」

このような「加齢による組織の修復能低下」と一言で片付けられてしまうことも、実は最新の老化研究の世界では、「ゾンビ細胞」という非常に面白い切り口で解明が進んでいます。


ゾンビ細胞って何?

そもそも私たちの体では、毎日たくさんの細胞が生まれ、役目を終えた細胞は処分されています。
細胞が傷ついたり、寿命を迎えたりすると、それ以上問題を起こさないように自ら死を選ぶ仕組みがあります。これは体内の秩序を保つための重要な仕組みで「細胞の自殺」(アポトーシス)とも呼ばれます。

ところが、なかには死なずに居残る細胞がいます。
それが「ゾンビ細胞」です。

このゾンビ細胞の厄介なところは、ただ居座るだけでなく、周囲に「炎症物質(SASP)」を撒き散らす。組織内に『消えない火種』を抱え続けているようなもの。これでは、リハビリをして細胞を活性化させようとしても、ゾンビ細胞の出す有害物質がそれを邪魔してしまうのです。

つまり、「俺が老けたんやから、お前も老けろよ」と隣の元気な細胞まで巻き添えにして、組織全体の修復能力を低下させる可能性があるのです。まさに「ゾンビ」ですね。
(分裂しないけど死なない、周囲に悪影響を及ぼす)


将来、皆さんが高齢者施設や整形外科で働く際、多くの患者さんはこの「ゾンビ細胞」の影響を少なからず受けている可能性があります。
「治りが悪い」のは、患者さんの努力不足や加齢による「老化」という不可避な現象だけが理由ではないかもしれません。
ゾンビ細胞による「慢性的な炎症の火種」が、治癒を阻害している可能性があるのです。

ゾンビ細胞を放置すると老化は加速しますが、「適切な運動」がその蓄積を抑える可能性があることがわかってきました。(薬もいろいろ開発されています)

運動をすると、免疫細胞が活発になり、ゾンビ細胞という『体のゴミ』を掃除しやすくなります。
筋肉を鍛えるのは、単に筋力をつけるためだけでなく、『体内の環境を整え、細胞レベルで治癒力を高める』という役割もあるんですね。
患者さんに「少しずつでも体を動かしましょう」と運動の大切さを伝えるときにも役立つ情報ですね。

今はまだ、柔道整復師国家試験のための教科書に「ゾンビ細胞」(正しくはSenescent Cell)は載っていません。教科書に載っている知識はあくまで「現在の標準」であって「完成形」ではないです。
教科書に書かれた知識だけでなく、常に最新の知見に目を向けることも大切です。
柔道整復師として学び続ける姿勢を忘れずにいたいですね。

ちなみに私が今、気になっている細胞は「ゴジラ細胞」です。
ミサイルを受けたり大火傷をしても、すぐに組織を短期間で修復するという、異常な再生能力をもつ「ゴジラ細胞」。

映画『ゴジラ-1.0』の最後の場面で主人公の奥さんが「ゴジラ細胞」を思わせるような不思議な痣(あざ)が現れた場面で終わりました。奥さん、ゴジラになるんかなぁ…
今年の秋に公開予定の続編『ゴジラ-0.0』が楽しみで待ち遠しいです。

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