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柔道整復学科

人間に“しっぽ”はなぜ消えた?― 尾骨に残る進化の記憶【解剖おもしろ雑学帳Vol.11】

こんにちは。教員Aです。
今年最後の投稿は、【解剖おもしろ雑学帳】第8弾!

今回は、しっぽの話をします。

尾骨は、背骨のいちばん下にある小さな骨。
実はこれ、しっぽの名残だと考えられています。

そもそも、しっぽは何のためにある?
動物のしっぽには、こんな役割があります。

・バランス調整(サルやネコ)
・方向転換・ジャンプ補助
・感情表現(嬉しい・警戒・不安)
・推進力(水中では超重要)

しっぽは、ただの飾りではなく、運動器+コミュニケーション器官だったんですね。



なぜ人間はしっぽを失った?
人類は進化の過程で

・直立二足歩行
・骨盤の短縮・幅広化
・下肢主導の移動様式   を獲得しました。


これにより、バランス制御の主役は「しっぽ」→「骨盤・体幹」へと移行します。
つまり人間は、外でバランスを取る身体から、内側で制御する身体へ進化したのです。
その結果、「しっぽでバランスを取る」必要がなくなり、しっぽは使われない器官へ。
そして最終的に、尾骨だけが名残として残ったと考えられています。


でも尾骨は“不要”じゃない。

・骨盤底筋の付着部
・座る姿勢の安定
・体幹バランスの土台

尾骨は今でも重要な役割を持っています。

つまり尾骨は、しっぽを失った人間のために再就職した骨とも言えます。

私たちは、しっぽを失う代わりに、
体幹で姿勢を制御する高度な運動システムを手に入れました。

尾骨は小さくても、人間の「立つ・座る・動く」を静かに支えているんですね。

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