こんにちは、教員Aです。
解剖学の用語って、漢字を見ただけでは意味がピンとこないこと、ありますよね。
でもその名前、実はしっかりした由来や“カタチの意味”が込められていることも多いんです。
今回は、顔の奥、中心あたりにある「篩骨(しこつ)」のお話。
読むのも難しそうなこの骨、なぜ「ふるい(=篩)」の字を使うのでしょうか?

篩骨は、頭蓋骨の奥深く、目と鼻の間のエリアにある小さな骨。
頭蓋骨の「一部」と思って見過ごされがちですが、実はとても複雑で重要な構造です。
構成する部分には:
- ・篩板(しばん):小さな穴がたくさん空いたプレート状の部分
- ・垂直板
- ・眼窩板
などがあり、とくに篩板は注目ポイント。
篩板には、無数の小さな穴が空いています。
この穴を通って、嗅神経が鼻腔へと伸びています。
つまり、ふるい(篩)=細かい穴がたくさんある道具とそっくりな構造をしているんです!
この特徴から、
「ふるいのような骨」→「篩骨(しこつ)」と名付けられました。

篩骨は英語で ethmoid bone(エスモイド・ボーン)。
語源はギリシャ語の “ethmos”(=ふるい) から来ています。つまり、英語でも「ふるい」由来!
日本語も英語も、形に驚いて名付けた…というわけですね。
篩骨を通る嗅神経(第1脳神経)は、においを感知する大事な神経。
この部分に外傷が加わると、嗅覚が消失(嗅覚脱失)してしまうこともあるんです。
また、篩骨は脳(前頭葉)に近く、感染症(副鼻腔炎など)が重篤化すると脳にも波及することがあります。

見えないけれど、すごく大事な骨なんですね。
「篩骨(しこつ)」は、小さな穴がたくさん空いた“篩(ふるい)”のような構造をしていることから名付けられました。
日本語も英語も、形そのものを見て名付けた点が共通しています。
もしあなたが「鼻が利くタイプ」なら…篩骨がしっかり働いている証かもしれませんね(笑)







