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日常生活(ブログ)

柔道整復学科

ヘビ年に紐解く、生理学と自然の不思議

こんにちは、柔道整復学科教員のA です。

 今年はヘビ年ですね!
ヘビは古来より多くの文化や神話で特別な存在として描かれ、「再生」や「治癒」の象徴とされてきました。
その理由の一つが、ヘビが皮を脱ぎ捨てて新しい姿になる「脱皮」という特徴です。

この「再生力」、骨折や脱臼、筋肉の損傷などに対して、身体がどのように自然治癒力を発揮するのかを理解することは、柔道整復師としてもとても大事なことです。


そして、もう一つ注目したいのがヘビの「毒」です。
ヘビ毒は「怖い」というイメージが強いですが、実はその成分は医療の世界で大きく活用されています。



ヘビ毒には主に2種類の作用があります。

一つは「出血毒」で、血液や血管に作用して組織を破壊します。
もう一つは「神経毒」で、神経を麻痺させて筋肉を動かなくする作用があります。

例えば、マムシやガラガラヘビは血液毒が多く含まれ、コブラは神経毒が主成分です。
実はこの毒を自然のままではなく、科学的に加工して「薬」に変えることで、さまざまな病気の治療に役立てられているのです。

具体的には、血液毒に含まれる「トロンビン様酵素」は、血液を固める役割があります。
「トロンビン」って生理学で出てきましたよね。覚えてる?
この成分を利用して作られた薬「エカプリン」は、手術時や外傷で出血が止まらないときの止血剤として使用されます。

一方、同じ血液毒の中にある別の成分は、血栓(血のかたまり)を溶かす薬に加工され、脳梗塞や心筋梗塞の治療に使われています。

神経毒についても、神経の働きを研究する材料として使われたり、痛みを和らげる治療薬の開発に役立っています。このように、ヘビ毒は「毒」というだけではなく、命を救う「薬」としての可能性を秘めているのです。

柔道整復学を学ぶ私たちにとって、人体の生理学を深く学ぶことで、身体の中で起こっていることを理解することはとても大切。
こうした自然界の驚くべき仕組みや、それを医療に応用する科学の力を知ると、学びへの興味や意欲がさらに高まるのではないでしょうか。

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