
こんにちは。外国語学科の中矢健太です。
今回の「クイーンズランド・レッズ」の受け入れは、現在レッズでアシスタントコーチを務められているZane Hilton(ゼイン・ヒルトン)さんが、佐藤G Mとキヤノンイーグルス(現・横浜キヤノンイーグルス)でチームメイトだったことから実現しました。
この見学を通して感じたのは、選手やコーチの人間力の高さです。私の大学ラグビー部時代のコーチは「良いラグビー選手ほど、人として素晴らしい」ということをよく言っていました。そのコーチも、自身が現役時代に教わったコーチからよく言われていたそうです。
たとえば、ヘッドコーチのレス・キス(Les Kiss)さんは私を見るなり、すぐに握手を求めてきてくれました。そして、セッションの合間には必ず “Do you have any question?” と聞いてきてくれます。また、スポーツサイコロジー(心理学)のセッションでは、ヘッドコーチ自ら率先して質問されていました。
レスさんは、現在60歳で、背丈や身体も大きいわけではありません。でも、アシスタントコーチに任せる部分は思いっきり任せて、自分はどっしり構えているその姿勢が、指導者としてのオーラを放っていました。
ラグビーオーストラリア代表、通称「ワラビーズ」の現ヘッドコーチは、今年9月での辞任を表明しています。その後任候補は現段階で4人に絞られていますが、レスさんはその中の一人と言われています。その所以がわかったような気がしました。

また、選手もたくさん声をかけてくれました。その日、急に現れ、チームで揃ったウェアを着ていない私の存在は、怪しくて仕方ないはずです。でも、 “How are you doing?” と多くの選手が気さくに話しかけてくれました。
全体練習後、自主練習に励んでいたテイト・マクダーモット (Tate McDermott)。チームの共同キャプテンでワラビーズにも選ばれている素晴らしい選手です。テイトが蹴った球を拾って蹴り返していると、話す機会に恵まれました。現役ワラビーズの選手の自主練習に付き合うという、とんでもない経験。正確な位置に蹴り込むスキルやキックのインパクトなど、世界を代表する選手のテクニックを、ボールを通じて直に感じることができました。
テイトとは、終わった後に少し話しました。「Do you come tomorrow? (明日も来るの?)」と言われて「No, I can’t tomorrow(明日は行けないんだ)」と返事しなければならなかったのが少し残念なくらいでした。
他にも、アンガス・ブライス (Angus Blyth)、ハンター・パイサミ (Hunter Paisami)、フィリポ・ダウングヌ (Filipo Daugunu)といった現役ワラビーズで、オーストラリアを代表する選手たちとも話すことができました。彼らと同じ空間に自分がいることを考えると、現実味が全くありませんでした。特にアンガスは、ゼインさんと私が日本語で話しているのを見て「コンニチハ、ハジメマシテ〜」と話しかけてくれました。他のチームメイトに「『ワタシ、カッコイイデスカ?』って彼に聞いてみな」とちょっかいをかけていたのも面白かったです。笑
また、アンガスはボンド大学でのプレー経験があり、実習としてチームに所属していることを話すと喜んでくれました。レッズの男子のみならず、今年の女子チームの共同キャプテンの2人もボンド大出身ということを聞いて、改めてボンド大の歴史とレベルの高さを感じました。
パッと見て、何者なのかわからない私を放っておいてもいいはずです。でも、そうやって一流の選手たちと話せたこと、一緒に練習ができたことは、私にとっての忘れがたい財産になりました。一流のコーチや選手ほど、人に対して丁寧で親切という、人間力の高さを学びました。今後、もし自分が逆の立場になったとき、彼らにしてもらったことを今度はしてみようと思います。

photographs by Kenta Nakaya







