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野球コース

タマノスケ新章 引退はゴールちゃうスタートや 【目標がなくなるってこんなに怖いんやな】第3話

引退して、しばらく経ったころ。

朝はゆっくり起きられる。
放課後も、時間がある。

でもな、ある日ふと気づくんよ。

「……次、何を目指せばええんやろ。」

これまでの毎日は、分かりやすかった。

大会に向けて勝つ。
レギュラーを取る。
タイムを縮める。
記録を伸ばす。

ゴールが見えてた。
せやから、多少しんどくても頑張れた。

でも引退した瞬間、
その“分かりやすいゴール”が消える。

地図が急になくなったみたいな感覚や。

ある生徒が、こんなことを言うてたらしい。

「目標がないって、こんなに怖いんですね。」

この言葉、ほんまリアルやと思う。

部活ってな、
自分を動かす理由をくれる場所やった。

「今日はやる気ないな」って日も、
集合時間があったら行くしかない。
仲間がおったら、サボれへん。

でも引退したら、
急に“自分で自分を動かさなあかん世界”に変わる。

これが、地味にしんどい。

ある先生はこう言ってた。

「引退後は、急に大きな夢を決めなくてええ」って。

いきなり
「将来の目標は?」
「5年後どうなってたい?」
とか聞かれても、正直ピンと来えへんよな。

さっきまで“明日の練習”が目標やったんや。
そんな急に、人生のゴールなんか描けへん。

せやからな、

次は“夢”じゃなくてええ。

「毎日机に向かう」
「生活リズムを整える」
「体を動かし続ける」
「誰かの話をちゃんと聞く」

そんな小さな目標でええ。

部活のときもそうやったやろ?

いきなり全国優勝から始まったわけちゃう。
今日の練習をやりきる。
昨日より一本多く振る。
その積み重ねやったはずや。

目標ってな、
最初から立派な形で存在するもんちゃう。

動きながら、育っていくもんや。

ある指導者は言うてた。

「目標がない時期もある。その期間を悲観しなくていい」って。

これ、ほんま大事や。

目標がない=ダメ
ちゃう。

目標がない時間は、
次の目標を考える準備期間や。

土を耕してる時間みたいなもんや。
まだ芽は出てへんけど、
ちゃんと次のための時間になってる。

あんたな、もう知ってるはずや。

毎日コツコツ積み重ねたら、
ちゃんと前に進めるってことを。

しんどい練習も、
終わりが見えへん走り込みも、
積み重ねたら、ちゃんと力になったやろ?

その“継続力”は、
まだちゃんとあんたの中に残ってる。

ただ今は、
使う場所が変わっただけや。

焦らんでええ。

今はまだ、霧の中みたいでもええ。
遠くが見えへん日があってもええ。

でもな、足元の一歩は踏み出せる。

その一歩が、
また次の景色を見せてくれる。

目標は、探すもんやない。

動きながら、育てるもんや。

引退しても、
あんたの“前に進む力”は消えてへん。

今はまだ、スタート直後や。

ゆっくりでええ。
でも止まらんと、いこか。

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