
⸻
「こんな進路、正直あんまり人に言えへん…」
「周りと比べたら、なんか地味やし…」
「ほんまにこれでよかったんかなって、たまに不安になるんです」
そんな声を、タマノスケは何回も聞いてきた。
自分で選んだはずの道やのに、
いざ周りと比べてみたら、
急に自信がなくなって、胸の奥がざわざわする。
それ、あんただけちゃうで。
誰だって、一回は通る道や。
⸻
世の中にはな、
「すごいな」って言われやすい進路がある。
名前を聞いただけで、
「かっこええ」「安定してそう」「将来安心やな」
そう言われる道も、たしかにある。
でもな、タマノスケは思うんよ。
ほんまに大事なんは、
“どう見えるか”やなくて、
“どう向き合うか”や。
⸻
ある生徒が、こんなことを言うてた。
「正直、第一志望とは違う進路になりました」
「胸張って言えへん自分がおって、情けなくて…」
でもな、その子は続けてこうも言った。
「せやけど、ここでちゃんと頑張ろうって決めたんです」
「この場所で、誰かの役に立てる自分になりたいって思ったんです」って。
その言葉を聞いたとき、
タマノスケは心の中で思った。
ああ、この子はもう、自分の道を歩き始めてるなって。
⸻
進路ってな、
選んだ瞬間に価値が決まるもんやない。
「そこで、どう立つか」
「どんな姿勢で、毎日を過ごすか」
それで意味は、いくらでも変わる。
派手やなくてもええ。
人に自慢できんくてもええ。
目の前の仕事に、
目の前の学びに、
ちゃんと向き合おうとしてるなら、
それはもう、立派な進路や。
⸻
就職する子もおる。
進学する子もおる。
家業を継ぐ子もおる。
一度立ち止まって、自分を探しに行く子もおる。
どれが上で、どれが下なんて、あらへん。
“自分で考えて、自分で選んだ”
それだけで、その道には価値がある。
⸻
人はな、不思議なもんで、
自分が不安なときほど、
他人の道がやたらまぶしく見える。
「あの人はすごいな」
「それに比べてオレは…」
せやけど、それは
他人の“結果”だけを見てるからや。
その人が、
どれだけ悩んだか
どれだけ迷ったか
どんな覚悟で選んだか
そこまでは、見えへん。
あんたの覚悟も、
全部は周りに伝わらへんかもしれん。
でもな、
自分だけは知ってるやろ。
どれだけ悩んで、
どれだけ考えて、
どんな気持ちでその道を選んだか。
⸻
せやから、
「言いにくい進路やな」って思わんでええ。
「比べてしまう自分、あかんな」って責めんでええ。
胸張って言うたらええねん。
「オレは、この道で頑張るって決めた」って。
その一言が言えるなら、
あんたはもう、十分前に進んでる。
⸻
進む先が険しいかもしれん。
思ったよりしんどい日も、きっとある。
でもな、
その道を歩く覚悟を持ったあんたは、
もう立派や。
胸張っていこ。
その進路、あんたの人生や。
タマノスケは、
そういう背中を、いちばん誇りに思うで。







