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夕方のグラウンド。
練習が終わって、選手たちが三々五々片付けを始める時間やった。

マネージャーの子が、一人で黙々と整備を続けていた。
スコップで土をならし、ラインを引きなおし、ベンチのゴミを拾って……。
誰に言われたわけでもなく、「みんなが気持ちよく練習できるように」って思いだけで動いてる。
そんなとき、後ろから声がした。
「おい、いつもありがとうな。
ほんま、お前のおかげで助かってるわ」
その選手は照れたように笑って、軽く手を挙げただけ。
ほんの数秒の出来事やったのに、マネージャーの子はびっくりしたように目を丸くして、
少ししてから、ふわっと笑って「こちらこそ」と返した。
その笑顔を見ながら、タマノスケは思った。
“ありがとう”って、なんでこんなにすごい言葉なんやろ。
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感謝って、見えへん心をそっと照らす力がある。
たった一言なのに、
その日のしんどさが軽くなることがある。
自分のしていることに、ちゃんと意味があるんやって気づける瞬間がある。
誰かが、自分の働きに気づいてくれた。
それは、思ってる以上に人の心を強くする。
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ある先生はこんな話をしてくれた。
「節目の大会が終わったあと、
“誰が支えてくれたか”をチーム全員に考えさせる。
保護者、マネージャー、審判さん、練習場所を貸してくれた人……
それに気づいて、自分の言葉で“ありがとう”を届けること。
それができるチームは強い。」
別の先生はこう言ってた。
「私ら指導者や選手は、好きな野球を好きなだけやってる。
でもマネージャーや保護者は、好きなことばかりじゃない中で支えてくれてるんや。
だからこそ、『ありがとう』を言える選手であれ、って伝えてる。」
その言葉を聞いて、タマノスケはしみじみ思った。
“感謝に気づけること”が、強いチームの条件なんや。
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支えてくれてる人って、当たり前にそこにおるわけやない。
暑い日も、寒い日も。
自分が疲れてても。
誰かのために動いてくれてる。
水を用意してくれる誰かがいる。
遠征の準備をしてくれる誰かがいる。
応援席で声が枯れるまで叫んでくれる誰かがいる。
家でご飯を作ってくれる人がいる。
練習から帰ってきた自分に「おかえり」と言ってくれる人がおる。
その全部に、ほんとは「ありがとう」を伝える理由がある。
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タマノスケはな、こう思ってる。
“ありがとう”は、言われた人だけじゃなくて、
言った人の心も育ててくれる言葉や。
だって、感謝を伝えるって、
相手の努力に気づいてる証拠やから。
相手を大事に思ってるからこそ、出てくる言葉やから。
“ありがとう”を言えた自分の心も、確実に前より強く、優しくなってる。
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もし今、
「恥ずかしいし、わざわざ言うほどでも…」
って思ってる人がおったらな。
一回だけでええから、勇気出して言うてみてほしいんや。
「ありがとう、助かった」って。
それだけで、
今日一日が誰かにとって“特別な日”に変わるかもしれん。
そしてその一言が、
また明日も誰かを支える力になる。
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最後にタマノスケからひとつだけ。
“ありがとう”は、チームを強くする魔法の言葉や。
使えば使うほど、
チームはあったかくなって、
みんなの心が前を向くようになる。
今日、誰に伝える?
その一歩が、チームの未来をちょっと良くするんやで。







