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野球コース

タマノスケ新章第五話【仲間ってカッコええやん】“支える側“にもちゃんと意味がある

ある日の放課後、夕焼けがグラウンドを赤く染め始めたころ。
タマノスケはベンチを片付けようとしてたんやけど、
その端っこに、ひとりぽつんと座ってる控えの選手がいた。

帽子のつばを深く下げて、つぶやくように言った。

「オレ、どうせ試合に出られへんし……意味あるんかな」

その声は、小さくて、弱くて。
だけどタマノスケには、しっかり届いた。

タマノスケはその横にそっと座って、こう言った。

「お前がおるから、このチームは動いてるんやで」

選手は驚いた顔をしてた。
でもな、これは慰めとかやさしい言葉やなくて、タマノスケの“本音”や。

野球はな、グラウンドに立つ9人だけで戦ってるんとちゃう。
試合に出てるプレーヤーも、背番号を背負った控え選手も、
声出して盛り上げるやつも、道具を整えてくれるやつも、
休み時間にアドバイスくれるやつも、
みんながひとつになって、はじめて“チーム”になるんや。

ある先生がタマノスケにこんな話をしてくれたことがある。

「ベンチで声を出し続けた選手がおってな。
試合中、レギュラーがミスして落ち込んだとき、
真っ先に立ち上がって“いける!まだいける!”って声をかけた。
その一声で試合の流れが変わったんや。
支えるって“見てるだけ”と違う。
空気を変えられる力や。」

また別の先生はこんな話をしてくれた。

「ある日、控えのやつが誰よりも早く来て、
黙ってグラウンドの準備を全部してたんや。
それを見たレギュラーが
“アイツがここまでやってんねん。オレらももっと動かな”
って言い出してな。
その“見えへん努力”で、チームが一気に引き締まった。」

タマノスケは思う。

“支える”って、実はめっちゃ難しいんや。

試合みたいに大きな拍手があるわけやない。
ヒットみたいに数字で残るわけでもない。
「ありがとう」って誰かに言われることも、多くはない。

せやけどな。
それでも自分の役割を続けられるって、
めちゃくちゃ強いことやと思うんよ。

控えの選手の中には、
悔しい気持ちを飲み込んでベンチを盛り上げてるやつもおる。
自分が出られなくても、仲間の成功に本気で喜べるやつもおる。
そんな姿が、実はチームを底から支えてる。

タマノスケは、ゆっくり選手に向き直って言った。

「主役を照らすライトってな、
その後ろに“土台”があるから立ててるんや。
その土台がなかったら、どんなライトも倒れてまうんよ。」

君がやってることは、
誰かのプレーを支え、
チームの空気を整え、
みんなを前に進ませる“土台”なんや。

たとえ今日、背番号を呼ばれへんかったとしても、
君がその場所におるだけで、チームの強さは変わる。

タマノスケは最後にこう言った。

「今やってるその努力には、間違いなく“意味”があるんやで。
君がいるから、このチームは戦えるんや。」

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