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こんにちは、タマノスケやで。
今日は、オレが忘れられへん“ある夏のチーム”の話をしようと思う。
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その年の大会。
タマノスケが見守っていたチームには、最後までベンチに座り続けた控えの選手がいた。
彼は、どんな日も一番にグラウンドに来て、誰よりも大きな声で仲間を励ましてた。
試合中も、相手のクセを見抜いて投手に合図を送ったり、守備位置を仲間に伝えたり。
プレーできなくても、「自分にできること」をいつも探し続けていた。
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そんな彼の姿を見ていた主力のひとりが、試合前にポツリと言った。
「アイツのためにも、今日は絶対勝ちたいんです」
その言葉を聞いた瞬間、
タマノスケの胸の奥がじんわりと熱くなった。
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“支える人”がいると、チームは変わる。
誰かが自分のために動いてくれてると感じた瞬間、
選手たちの表情が変わる。
その空気は、言葉にせんでも伝わるんや。
たとえば、ベンチから聞こえる声ひとつで、
グラウンドの空気がピンと引き締まる。
ひとりの想いが、チーム全体を動かす。
それが「支える力」なんやと思う。
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支えるって、派手なことやない。
でも、めっちゃ勇気のいることや。
“自分は試合に出られない”という現実と向き合いながら、
それでもチームのために笑顔で動けるって、
誰にでもできることやない。
ある先生がこんなことを言ってた。
「支えるって、“我慢強さ”と“想像力”の両方がいるんや。
それをできる人こそ、本当の強さを持ってると思う。」
その言葉を聞いて、タマノスケは思った。
ほんまの“ヒーロー”って、
試合でヒットを打つ人だけやないんやって。
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ベンチで声を出し続ける人。
誰よりも早く来て道具を並べる人。
誰にも見られてへん時間に、仲間のために動ける人。
そういう存在が、チームの“土台”を作ってる。
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試合後、勝利の余韻に包まれるグラウンドで、
あの控え選手はいつも通り、黙ってベンチの片付けをしてた。
その背中を見て、主力の選手がそっと言った。
「アイツがいたから勝てた気がします」
タマノスケはその言葉を聞いて、思わずうなずいた。
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努力は、いつも目に見える形で表れるわけやない。
でも、見えへんところで積み重ねたものほど、
チームの“芯”になっていく。
支えるって、ほんまにすごいことや。
誰かの背中を押して、空気を変えて、
チーム全体を前に進ませる力を持ってる。
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タマノスケは最後に、こうつぶやいた。
「支えるって、やっぱりかっこええな。」
その瞬間、ベンチの片隅で笑うあの控え選手の姿が、
オレには、どんなヒーローよりもまぶしく見えたんや。







