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野球コース

タマノスケ新章4話【ケンカしても大切なものは変わらへん】

「うっさいわ!!ほっといてくれや!」

ある日の放課後。
タマノスケは、いつも一緒におる親友のユウスケと、本気のケンカをしてもうた。
理由は、たった一言のすれ違いやった。

練習中、タマノスケがちょっと気を抜いた瞬間。
ユウスケが鋭い声で「ちゃんとせえよ!」って言うたんや。
その言い方に、なんやムッとしてもうて……気づいたら、あんな言葉が口をついて出てた。

あとは、気まずい空気が流れるだけ。
その日は、ろくに会話もせんと、バラバラに帰った。

──次の日の朝。
グラウンドで顔を合わせても、目も合わへん。
キャッチボールの相手も、自然と別のやつにしてしもた。

「……あいつも悪いよな」
「謝ってほしいわ」
「でも、やっぱり…仲直りしたいんやけどな」

そんな気持ちが、頭の中でぐるぐる回る。
ケンカって、体より心が疲れるもんやな。

放課後、誰とも口を利かずに帰ってると、ポケットの中でスマホが震えた。

──ピロン。

ユウスケからのLINEや。

「明日、ノックの補助頼まれてんねん。手伝ってくれへん?」

……それだけ。
「ごめん」も「昨日は言いすぎた」も、何も書いてへん。

でもな、その一言で、タマノスケはクスッと笑ってもうた。

「こいつ、いつもこうやって、さりげなく戻ってくるんや」

その「いつも」が、どれだけありがたいか。
ケンカのときだけやなくて、しんどいとき、悩んでるとき、落ち込んだとき。
言葉は少ないけど、ちゃんと隣に戻ってきてくれる。
タマノスケは、そんなユウスケの“らしさ”が、実はすごく好きやったんや。

──翌日。

2人は、いつも通りノックの準備をして、
何事もなかったかのようにグラウンドに立ってた。

「これ、置いとくで」「おう、サンキュー」
そんだけの会話でも、なんかホッとする。

練習終わり、ベンチで飲み物を飲みながら、くだらん話で笑い合ってたとき、ふと思ったんや。

「ホンマの仲間って、完璧やなくてええんやな」

自分の嫌なところも、相手の未熟なところも見えてる。
でも、それを我慢したり隠したりせんでええ。
カッとなってぶつかっても、また戻れる。
その“戻れる関係”こそが、ほんまの信頼やと思ったんよ。

信頼って、「何でも許す」ことやない。
ちゃんと向き合って、怒ることもある。
でも、そこには“この人と一緒にいたい”って気持ちがあるからこそ、
壊れるんやなくて、むしろ強くなる。

今振り返れば、あのケンカも無駄やなかった。

言い合って、離れて、でもまたつながった。
その経験が、タマノスケにとっての「仲間の本当の意味」を教えてくれたんや。

だから、これを読んでる君にも伝えたい。

もし、仲間とぶつかったときは、すぐに答えを出そうとせんでええ。
時間を置いてもええ。
でも、気持ちが落ち着いたら、もう一回ちゃんと向き合ってみてな。

謝るのが苦手でも、うまく言葉が見つからんでも、
“戻る勇気”があれば、また前みたいに笑い合える日が来るから。

「ケンカしたってええ。でも、それでも一緒におれるんが、ほんまの仲間やで。」

そんな関係、大切にしてな。

ほな、また次な。
タマノスケより。

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