春になると、多くの人が悩まされる「花粉症」。
くしゃみ、鼻水、目のかゆみ…。
アスリートにとってもパフォーマンスに大きく影響します。
そのため、抗ヒスタミン薬や点鼻薬などを使用する選手も少なくありません。
しかし――
実は花粉症の治療薬の中には、ドーピング規則に抵触する可能性があるものが存在します。今日はそこについてのお話。(選手に向けてトレーナーとしてもよく話す話題です。)

ドーピングとは?
ドーピングとは、競技能力を高める目的で禁止物質や禁止方法を使用することです。
日本では、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が啓発や管理を行っています。
毎年、世界基準に基づいた「禁止表」が更新され、使用できる薬・できない薬が細かく定められています。
花粉症の”予防”と”治療”
予防としては、大きくは、「花粉を避ける」「花粉を持ち込まない」の2点です。
花粉症治療には
・対症療法
・免疫療法(アレルゲン免疫療法)があります。
対症療法:内服薬、点鼻薬、点眼薬をそれぞれ、または組み合わせて花粉による症状を抑えるための治療法
免疫療法:花粉の成分が含まれた薬剤を定期的に投与し、花粉の成分に体が慣れるようにして、花粉が体内に入ってきてもアレルギー反応が発生しないようにするための治療法
花粉症の薬(対症療法)で注意が必要なもの
花粉症の治療薬にはさまざまな種類がありますが、アスリートとして注意したいのが「ステロイド(糖質コルチコイド)」です。
これは体の炎症反応を抑える強い薬で、多くの病気に効果がありますが、使い方によってはドーピング違反になる可能性があります
花粉症で注意すべきステロイド治療
花粉症の治療では、
● 抗ヒスタミン薬(一般的な飲み薬)
● 点鼻薬、点眼薬
● ステロイド入りの点鼻・点眼
などが使われます。多くの一般的な抗ヒスタミン薬は問題ありません。
ここで大事なポイントは、
👉 点鼻薬や点眼薬などの“局所用ステロイド”は原則OK
👉 飲み薬や注射などの“全身用ステロイド”はNG(TUEが必要)
ということです。
つまり、
✔ 鼻の炎症に効くステロイド入り点鼻薬
✔ 目のかゆみに使うステロイド入り点眼薬
これらは多くの場合、ドーピング規則に引っかかりません(ただし禁止表を必ず確認する必要あり)。
一方で、
✖ 花粉症がひどくてステロイドの内服薬が処方された
✖ 花粉症シーズン中にステロイド注射を受けた
こういう使い方は「全身投与」とみなされ、競技会出場時は注意が必要になってきます。
📌 なぜドーピングになるの?
ステロイドの全身投与は、炎症だけでなく
✔ 筋肉の修復・回復
✔ 免疫反応の抑制
✔ 疲労感の軽減
などにも作用する可能性があり、厳しい競技では不正な「有利性」とみなされます。
だからこそ、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の禁止表では厳しく制限されています。
🧠 どう対応すべき?
花粉症シーズンの治療では、次のような対応が安心です。
✔ 花粉症治療で薬を使う前に「競技者である」と必ず伝える
✔ 医師・薬剤師にドーピングの観点で相談する
✔ 全身投与が必要な場合は「TUE(治療使用特例)」の申請を検討する
✔ 常用している薬リストを定期的に見直す
特にステロイドの全身投与(内服)は、意図せずドーピング違反になるリスクが高いので、自己判断で使わないことが重要です。
実際に起こる“うっかりドーピング”
ドラッグストアで購入した市販薬でも、成分によっては問題になることがあります。
・家族にもらった薬
・以前処方された薬の残り
・成分を確認せずに服用
こうしたケースで違反になる例は少なくありません。
ドーピング違反は「故意かどうか」ではなく、体内から禁止物質が検出されたかどうかで判断されます。
トレーナーとして思うこと
コンディショニングとは、トレーニングだけではありません。
「体調管理」「薬の管理」も含めて、すべてがパフォーマンスにつながります。
花粉症は仕方のないものです。
だからこそ、正しい知識で安全に対処することが大切です。
✨ まとめ
- 花粉症の薬の中にはドーピング規則で禁止されている成分がある(特にステロイドの使い方)
- ステロイドでも、点鼻・点眼などの局所処方はOKな場合が多いが、内服・注射はNG(TUE必須)
- 競技者は薬の種類・使い方を必ず確認し、専門家と相談することが大切
今日のところはここまで。私も早く花粉の時期が終わってほしい1人です。それではまた。
ATコース 横井







