先日、3年生の講義の中で、リフトに関するものがありました。
リフトは、対象者(多くは患者さんや利用者さん)の移乗に使用するものです。
移乗とは、ベッドから車椅子への乗り移りや、車いすからトイレへの乗り移りのことで、
自分でできたり手助け(少量)してもらうことでできる場合は、出来るだけ自身の力を使うことで行ってもらいます。
それにより、自分自身の筋力を保つことができます。
しかし、手助けの程度が大きい人やほとんど動けない人は、全介助により行うこととなります。
理学療法の治療場面であれば理学療法士が行い、生活場面であれば看護師や介護士が行います。
ただ、介助する側は力に限りがあり、力で抱え上げるために1人で不可能な場合は複数名で行ったり、
或いは抱え上げた時に腰を痛めたり、転倒・転落させてしまう危険性などのデメリットがあります。
そして介助される側にも、転倒・転落に対する恐怖感で緊張したり、
手足などをどこかにぶつけられるといったデメリットがあり、双方にとって大変です。
そこでリフトです。抱え上げる介助を補助するものです。
もちろん、コストがかかりますし、使い方を誤るとデメリットになりますが、
正しく使用することによりデメリットを防ぐことができます。今回は、その基本的な知識と体験を行いました。
理学療法士としては普段は介助する側ですが、
今回の講義では実際に介助する側とされる側でリフトを体験しました。
学生の声として、介助する側としては「力が要らない。」、「楽に移乗ができる。」などの声があり、
介助される側としては
「機械で吊られても、すごく安楽な肢位でリラックスできる。」、
「安定していて、思っていたより怖さをあまり感じない。」などがありました。
ただし実際には、福祉や介護の現場では少しずつ見られるようになってきたのですが、
医療の現場でリフトに関わることはあまりなく、
医療の現場で働くことが多い理学療法士にとっては関わりが少ないところではありますが、
それでも実習に行った学生の中に関わった者も数名いました。
特に腰痛に対しては、厚生労働省から「職場における腰痛予防対策指針」が示されており、
国としても対策を進めているそうです。
今後はもっと広がってくることが予想され、関わる機会も増えてくることでしょう。
そのことを先取りする意味でも、今回の講義は有意義なものであったと思います。