ブログ

2019.06.20
第54回国家試験午後問題74解説

成人の正常立位姿勢で正しいのはどれか。

1.腰仙角は約10度

2.胸椎と仙椎は前弯を示す

3.矢状面上における重心は仙骨の後方に位置する

4.矢状面における身体の重心線は足関節中心を通る

5.両上前腸骨棘と恥骨結合を含む面は前額面とほぼ一致する

 

答えは5

 

各選択肢を解説!!

 

1.腰仙角は約10°である。×

腰仙角と聞いて、まず矢状面上の腰椎・仙骨の骨解剖学の絵がでるだろうか?

腰仙角はa.b.cのどれか?

 

 

 

 

 

 

 

腰仙角は・・・aです。

 

角度については、カパンディで140°、プロメテウス、神中整形で143°、分担解剖学で120~164°と記載がある。

(こういった角度は、教科書により記載角度が違うものが多い。国試の選択肢に「約」がつくのは、こういった範囲を網羅するためだろう。「腰仙角が約140°」と出題されれば、正答と判断しないといけないかもしれない。)

 

Aが頭に浮かぶとこの選択肢は誤りだと判断がつくが、b.cが頭に浮かぶと「10°だったかもしれない・・」と悩む可能性も大。

 

Bは、仙骨角(水平線と第1仙椎上部を通る直線のなす角度)で平均30°を示す。(カパンディ)

Cは、骨盤傾斜角(骨盤傾度)は、水平線が岬角と恥骨結合上縁を結ぶ延長線となす角で平均60°を示す。(カパンディ・分担解剖学・日本人体解剖学)

このように、1つの選択肢から考えられる知識の拡充も国試勉強のコツの1つ!!

2.胸椎と仙椎は前弯を示す。×

頚椎は前弯・胸椎は後弯・腰椎は前弯までは、さすがに出てくる知識だろう。(これが出てこないのは、ちょっと危険です!基礎学力全体の底上げが必要ですので要注意!)

 

この時点で、胸椎が前弯=×と判断できるかもしれないが、仙椎は・・・?

ここで各解剖学の教科書を確認!

脊柱を概観すると、頸部は前方に凸の頸部弯曲、胸部は後方に凸の後方弯曲、腰部は前方に凸の腰部弯曲、さらに仙骨と尾骨はひとつづきの後上方に凸の仙尾弯曲を示す(分担解剖学)→つまり後弯?

仙尾弯曲後方に凸(後弯)となる。(日本人体解剖学)

→後弯と明記あり。

3.矢状面上における重心は仙骨の後方に位置する。×

4.矢状面における身体の重心線は足関節中心を通る。× 

基礎運動学の7.姿勢の2)重心にある下図が頭に浮かぶかどうか?が勝負!

(この図が頭に浮かばないのは、基礎学力の底上げが必要レベル!!要注意!!)

5.両上前腸骨棘と恥骨結合を含む面は前額面とほぼ一致する。○

この選択肢を読んで、まず、骨盤の矢状面上の図が頭に浮かぶか?

 

そして、両上前腸骨棘と恥骨結合が矢状面上において垂線(垂直線)で結べるか?と読み替えれるか?下の図を確認!

 

この図を見れば、正答と判断できる。

 

 

この問題の解説は、解剖学(分担解剖学・日本靭帯解剖学)・整形外科学(標準整形外科学・神中整形外科学)・基礎運動学の教科書を読み比べて作成している。この読み比べの作業により、知識が広がり・記憶に残る。この作業をまずは行ってみよう。

 

そしてこの問題から、

①腰仙角以外にも骨学の中には角度がいくつもあったな・・・。まとめてみよう!

②骨盤には男女の違いがあったな。男女の違いを表にしたものを見直そう!

③重心について、過去問題では他にどんな問題がでているのだろう?

 

などなど、疑問がどんどんでてくるはず!そして、疑問を解決しないまま、「国試当日この問題が出たらどうしよう?」という不安と戦いながら、国試の勉強を進めていく。そういうものです。

 

3年生は来年・4年生は今年!

 

国家試験は、学科受験者全員合格!!を目指して、

 

がんばろう!!

 

 

 

合わせて読みたい
  • NOW AND HERE 履正社卒業生の今。
  • 理学療法学科のFacebookもチェック