こんにちは。
アスレティックトレーナーコース教員の部谷(ひだに)です。
私事ですが、祖母である部谷千代子(ひだにちよこ)が昨日、101歳になりました。
100歳になった昨年は、内閣総理大臣から表彰状が送られてきたそうです。
ちなみにある海外での研究では、2007年以降に生まれた日本人の半数が107歳より長く生きると推計されています。
そうなると、100歳くらいは普通で120歳くらいでないと表彰されない時代が来るのかもしれませんね。
さて、今日は「みる」についてです。
我々トレーナーの基本技術の一つに、視診があります。
問診、触診に加え、視覚情報から得られる情報は多いです。
その中でも、スポーツで繰り返し起きる痛みなどを解決するためには、動いている選手の動作解析が出来ることが重要になってきます。
例えば、走っているときに腰が反り過ぎている、ジャンプの着地で膝が前に出すぎる、など動いている選手のエラーを見つけ、それを修正することで怪我の予防を行います。
その時、ついついやってしまうのが腰だけ見てしまう、膝だけ見てしまう、という見方です。
ヒトのカラダは全身が連動して動いているので、エラーのある動きが腰だけ、膝だけとは限りません。
もしかしたら痛いのは腰や膝ですが、原因は足首や肩の使い方にあるかもしれません。
腰や膝を気にしながらも、全体をとらえることでエラー動作の原因が別のところにあるのがわかる時があります。
これについて同じようなことを大昔の人が言っています。
かの剣豪、宮本武蔵は剣術の極意を五輪の書という本にまとめました。
その五輪の書「水の巻」に次のようなことが書かれています。
「相手の刀の位置を知ってはいるが刀を見過ぎず、遠くの山を観るように全体をとらえなさい」
戦いでは相手全体や周りの状況を俯瞰的に観ることが大切で、刀ばかり見ていては勝てませんよ、ということです。
「観る」が全体をとらえるのに対して、「見る」は局所をとらえることとし、武蔵はこの違いを「観の目、見の目」と言っています。
一点を集中して見るより、遠くの山をぼんやり観る方がカラダの無駄な力が入りづらくとっさの動きの質が良くなる、という理由なのかもしれません。
そして、これはトレーナーが選手の動きを評価する時も同じだと私は思います。
また、考え方として目先のことに目を奪われるのではなく、大局観を持ち、物事を俯瞰して状況全体をとらえることが大切だよ、と言っているのだと思います。
私の経験上、スポーツ現場では選手の動きを改善させることが出来るトレーナーは成功します。
なので学生の皆さんには、「見る」だけでなく「観る」を大切にほしいな、と思います。