vol.31 「読書の秋」
2021.10.01.UPDATE

10月は学年の半分、4月から3月にかけての折り返し地点です。一度、立ち止まって途中経過を確認しながら、次の方向性を決めるタイミングでもあります。上手く進んでいればいいのですが、全員がそうでは無いでしょう。もし「なんか上手くいかないな。」と思っているなら「作戦タイム」です。自分の中で一度整理してみてください。

現状を見直すためのヒントになればと、中国最古で最良の兵法書といわれる「孫子の兵法」を挙げてみましょう。

「孫子の兵法」は今から2500年ほど前の中国・春秋戦国時代の書物です。この時代は群雄割拠、国同士の争いが繰り広げられ、負けてしまうと自分の命をはじめ国自体が消えてしまいました。そのような乱世の中で、呉の軍師・孫武が記した戦い方の指南書です。当時の戦争は天運により勝敗が決まると思われていましたが、勝ち負けには原因と理由があるとし理論立てて孫武が書いたものです。負けたら全て終わりという時代に書かれただけに、考え抜かれた内容は核心をついています。

『彼れを知りて己れを知れば、百戦して殆(あや)うからず。彼れを知らずして己れを知れば、一勝一負す。彼れを知らず己れを知らざれば、戦う毎に必ず殆うし。』
敵情を知って身方の事情も知っておれば、百たび戦っても危険がなく、敵情を知らないで身方の事情を知っていれば、勝ったり負けたりし、敵情も知らず身方の事情も知らないのでは、戦うたびにきまって危険だ。

『先に戦地に処りて敵を待つ者は佚(いつ)し、後れて戦地に処りて戦いに趨(おもむ)く者は労す。故に善く戦う者は、人を致して人に致されず。』
戦争に際して、先に戦場にいて敵の来るのを待つ軍隊は楽であるが、後から戦場について戦闘にはせつける軍隊は骨がおれる。だから、戦いに巧みな人は、相手を思いのままにして、相手の思いどおりにされることがない。

『これを亡地に投じて然る後に存し、これを死地に陥れて然るに後に生く。夫れ衆は害に陥りて然る後に能く勝敗を為す。』
軍隊を滅亡すべき情況に投げ入れてこそ始めて滅亡を免れ、死すべき情況におとしいれてこそ始めて生きのびるのである。そもそも兵士たちは、そうした危難に落ちいってこそ、始めて勝敗を自由にすることができるものである。

『少なければ則ち能(よ)くこれを逃れ、若(し)かざれば則ち能くこれを避(さ)く。故に小敵の堅は大敵の擒(きん)なり。』
相手と自分の力量を知り、少なければなんとか退却し、力が及ばなければうまく隠れる。だから小勢なのに強気ばかりでいるのは、大部隊の餌食になるだけである。

「孫子の兵法」はここで紹介した他にも、今を生きる私たちにもうなずけることが沢山書かれています。戦争の「兵法」を、社会の荒波を生き抜くための示唆と読み替えて、古今東西、多くの人が座右の銘としているようです。そんなに長く読み継がれているのは凄いと思うとともに、人間が生き抜くことの本質は2500年経っても変わっていないのかとも思います。読書の秋、みなさんも一度読んでみませんか。

(参考図書)
・「新訂 孫子」(訳注:金谷 治/岩波文庫)
・「超訳 孫子の兵法『最後に勝つ人』の絶対ルール(著者:田口 佳史/三笠書房)
・「世界最高の人生戦略 孫子」(著者:守屋 洋/SBクリエイティブ)
・「強くしなやかなこころを育てる!こども孫子の兵法」(監修者:齋藤 孝/日本図書センター)

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