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2019.06.21
第54回国家試験午後問題84解説

高齢者の長期の安静臥床の影響で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

1.記銘力の低下

2.1回換気量の増加

3.循環血液量の減少

4.予備呼気量の増加

5.安静時心拍数の減少

 

 

 

正解は、1・3

 

この問題を解く思考法は大きく分けて2つある。

1つ目は、「長期の安静臥床」を「廃用症候群が起こる原因の一つ」であると解釈し、「廃用症候群の症状にはどんなものがあったかな?」と考える。国試当日にこの「変換」「解釈」が出来るか?は、それまでの勉強量と過去問をいかに考えながら解いたか?による。

 

廃用症候群による、器官・機能の変化について簡単にまとめてみた。(このまとめを、そのまま使うのではなく、自分でまとめる作業を必ず行うこと!加えて、なぜ起こるのか?「メカニズム」も合わせて理解しておくこと!)

 

筋骨格系

筋萎縮・筋力低下・骨萎縮・関節拘縮

 

循環器系

運動耐容能低下 ・起立性低血圧 ・循環血液量低下・血管運動調節機能障害・低血圧

 

呼吸器系

換気障害・沈下性肺炎 ・呼吸筋の筋力低下・一回換気量・分時換気量・肺活量・機能的残気量の低下

 

消化器系

低栄養・食欲低下・体重減少、便秘

 

泌尿器系

尿路結石、尿路感染

 

精神系

鬱・せん妄・見当識障害・睡眠覚醒リズム障害

 

「廃用症候群の症状」はある意味「暗記項目」に入れておいてもよい。特に、増加する?減少する?低下する?など「増減」要素があるものは出題されやすい傾向にあるので要注意!

 

2つ目の解き方としては、症状が起こりそうなメカニズムを生理学・病態学的に考えてみたうえで、可能性が高い順に選択肢を並べ変える。

 

まず、この選択肢の中で「1.記銘力の低下」は正しい可能性が高いと考える。

(この判断には、個人的な経験も加味されているのでこれ以上の説明はできない)

 

2.1回換気量の増加」「4.予備呼気量の増加

 

安静時呼吸において出入する空気量,すなわち1回換気量は成人男子で約500mlである。(500mlペットボトル1本分)

安静時呼息位からさらに強制呼息によって呼出できる量(予備呼気量)。

 

長期の安静臥床は、胸郭の可動性低下、呼吸筋の筋力低下が起こりそうなので、換気量・呼気量は減るのでは?

となると、正しい可能性は低い。

 

3.循環血液量の低下」

安静臥床で血液の循環量が増加するイメージは湧かない。

加えて、下肢の筋ポンプ作用低下→静脈還流低下?

正しい可能性が高いのでは??

 

「5.安静時心拍数の減少」について

安静時心拍数が減少するということは、徐脈になるのか?と考える。徐脈から紐づく知識を羅列してみる「スポーツ心臓」「徐脈性不整脈」「房室ブロック」「副交感神経優位?」・・・。逆に頻脈から紐づく知識を羅列してみる。「頻脈性不整脈」「交感神経優位?」「心疾患?」・・・。頻脈・徐脈は、心疾患・心機能の低下として、どちらも起こりうる可能性があるのでは?→選択肢としてどちらも起こりうる可能性がありそうなものは、正しい可能性が低い。

 

以上の思考過程で、

1>3>5>2・4の順で並べ変えてみた。

この問題を端的に表現すると、1をまず選び、2・4を消して、3か5で悩む問題だろう。

 

少し曖昧な表現や強引に知識を引っ張ってきているためお勧めできる解き方ではないが、紐づく情報を並べて可能性の高いものを選ぶ問題は必ずある。

一つのキーワードから紐づく情報量が多いか少ないか?は、国試勉強がうまく進んでいるかどうか?を判断する一つの指標となる。

ただし、廃用症候群は、臨床において高頻度に出会う病態のひとつである。症状とその症状が起こるメカニズム、具体的な理学療法、リスク管理は、必ず理解しておく必要がある。

 

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